感想

日常を生きるということ

56本目、「ぐるりのこと。」 一組の夫婦の10年にわたる歩みを法廷画家である主人公佐藤カナオ(リリー・フランキー)が目にすることになる様々な事件との対比を通して描いていく。 カナオは美大で日本画を専攻しながら現在は靴修理のアルバイトで生計立てて…

革命は終わらない!

55本目、「スピード・レーサー」。 「マトリックス」3部作で一躍世界的な映画監督になったウォシャウスキー兄弟の最新作。というよりもある年代以上の人にとっては、「マッハGO!GO!GO!」の実写映画化と言ったほうが通じる作品。最近のハリウッドの映画作りの…

ティーンエイジ・ファンタジー

54本目、「JUNO/ジュノ」。 遅すぎる感想ですが、そのうちDVDもでるので。 はてなの感想を見て回った結果、映画を観ている間感じていた「ジュノって、オヤジ転がし上手え!」って思いが間違っていなかったと確信。 これは監督のジェイソン・ライトマンの腕な…

星を継ぐもの

53本目、「僕の彼女はサイボーグ」。 現在、日本の映画界には二人の「少女大好き!」の巨匠がいます。一人はアニメの人で、今は「ポニョ、ポニョ」言ってますが、もう一人が本編作家のベテラン、大林宣彦。 この方は昨年、自身の出世作「転校生」をセルフリ…

お疲れさまでした、後は息子さんが引き継ぎます。

52本目、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」。 スピルバーグという演出家は「エンターテイメント」に根ざした表現をさせると、今でも世界一だと思います。だから、あまり社会的な題材や歴史に関係したネタを作品を撮るのはむいていないと感…

「やっつけろ」ではない。

51本目、「ラスベガスをぶっつぶせ」。 大変見やすいハリウッド映画。 実話を基にしていながら人種が変更されていたりと、いろいろとあったようですが、ちょっと洋画でも見たい人にはちょうどよい出来の映画だったと思います。 薄めの感想で申し訳ないんです…

変質の刻印

50本目、「イースタン・プロミス」。 ヴィゴ・モーテンセン+デヴィッド・クローネンバーグコンビによる任侠もの第2弾。今回は舞台をイギリスに移し、ロンドンの闇社会に生きる男たちの葛藤と社会の暗部を覗き見てしまうヒロインの苦悩を描きます。 脚本家ス…

ついに完結、三部作

49本目、「牡牛座 レーニンの肖像」。 すげえ感想が書きにくい、だってほとんど寝ていた可能性が高いから。 ソクーロフの20世紀の偉人3部作の最後の1本。(日本での公開は)革命後、ソ連を立ち上げながらも、実権はすでになく、病を患い、死に怯えながら、山…

本当に見事な失敗

43本目、「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」。 久しぶりに見事なブラックコメディを観たという感じ。ベテラン監督マイク・ニコルズは映画の冒頭から、辛らつな笑いを込めた表現を連発。 ものすごく生臭い人物のはずのチャーリー・ウィルソンを何をやって…

不思議な作家との出会い

47本目、「愛おしき隣人」と48本目、「スウェーディッシュ・ラヴ・ストーリー」。 「愛おしき隣人」は新作で、「スウェーデッシュ〜」はデビュー作(1970年)の再上映(内容的にはディレクターズカット)。前作「散歩する惑星」は公開時観にいこうとして行け…

殺人の衝動

46本目、「Mr.ブルックス 完璧なる殺人者」。 非常に丁寧に作られた作品で遊びが少なく、タイトでいい緊張感を持続することに成功していました。その代わり、丁寧すぎてテンポが悪いという面があったと思います。(どっしりと構えた本格派とも言えますが。)…

暴力の根源

45本目、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」。 「イースタン・プロミス」の予習ということで再上映に行きました。 痛い暴力バンザイな映画。古典的なウエスタンものの形を借りて、 過去を隠した男が自らの本性とどのように折り合うべきかを描いた作品。同時…

帰還についての物語

44本目、「接吻」。 このところなんだかモヤモヤした感じが社会を覆っているせいか、その感じを表現に結び付けたいと思う人間が出てきている。 この「接吻」と言う作品は、実際には数年前に製作された作品なので、「今」を切り取ろうとした作品ではないかも…

「ユー○アル・サ○ペクツ」みたい

42本目、「幻影師アイゼンハイム」。 ネタのバラし方が、以上。ってのは嘘なんだけど、最後にどんでん返し系の作品としては、タイトルに書いた作品があまりにも上手すぎるので、それ以降の作品が出来がいいor出来が悪い模造品になっていしまうのは致し方ない…

最後に出てきたレッドグレーブが全部持っていった感がありますが。

41本目、「つぐない」。 映画として重要な意味を持っているのが、「リワインド(巻き戻し)」。 前作の「プライドと偏見」を観たとき、監督のジョー・ライトは変な人だなあと思ったことを覚えてる。 この古典的恋愛話を基にした映画は、非常にオーソドックス…

本当の意味で上手い映画とはこういうこと

40本目、「最高の人生のみつけ方」。 巧い映画。これぞハリウッドという感じで、内容的には完全にファンタジーなんだけど、そうとわかっていてもいい気分にしてもらえる力作。さすがロブ・ライナー、最近劇場で公開されることが少ないのが本当に残念だと思う…

「ストーリー」のその先

39本目、「シューテム・アップ」。 噂に違わぬスカスカぶりでびっくりな訳ですが、この映画に関しては大枠だけ作って、中身は好きなものを精一杯詰め込んだという作りが成功していると思いました。 だって、クライブ・オーエンが主役にキャスティングされて…

「コントロール」は概ね正確であった

38本目、「JOY DIVISION」。 つい最近イアン・カーティスを中心にしたジョイ・デヴィジョンの自伝映画「コントロール」を観たんですが、今回はドキュメンタリー。 内容的はというとジョイ・デヴィジョンについての事柄が中心であることはもちろんなんですが…

舞台だったら良かったのに

37本目、「運命じゃない人」。 以前からいろんな所でおもしろいと評判の作品。監督の内田けんじ氏の新作「アフタースクール」公開にあわせた再上映で観ました。どんな話か全く知識を入れずに観にいったわけですが、お話自体は特に難解な部分もなく、説明的な…

自分の文章のように少し長すぎ

36本目、「さよなら。いつかわかること」 9.11テロ以降、アメリカがはまりこんだ泥沼のイラク戦争。もう5年の戦時下の状況が続いていると、直接の戦場でないアメリカ本土の社会情勢にも戦争の影響が影を落すようになっていると思います。 最近日本で公開され…

パリ変人(狂人)図鑑

35本目、「パリ、恋人たちの2日間」。 邦題がほとんど直訳なんだけど、ほのかに香るおしゃれ臭。「パリ」って言葉がつくと文化の香りがして、若干おしゃれ度がアップするから、あら不思議。 でも実際上映されたフィルムは、エントリのタイトルのような内容で…

父、還る。

34本目、「スパイダーウィックの謎」。 フレディー・ハイモア(今回は二役、よく働くな)のことはどこかに置いておいて、観る気は無かったのですが、ジョン・セイルズが参加しているとか、スゴクいいよという評判を読んだので観てみることにしました。 確か…

おもしろく無い訳じゃないんだけどね。

33本目、「ハンティング・パーティ」。 なんとも感想が書きにくい。ハリウッド映画として、ボスニア・ヘルツェゴビナを扱っているという点は評価できるんですが、あらすじがなんともハリウッド的で乗り切れない。ブラックなコメディにもなりきれず、政治的な…

境界を超えるということ

32本目、「ミスト」。 なにかとオチばかりが話題になっている感がありますが、監督のフランク・ダラボンが本来あるべき場所に帰ってきたことを喜ぶべきであり、オーソドックスなアメリカンエンターテイメントとしての映画をキチンと作った結果として評価すべ…

順番が悪かったんで、印象が薄くなってしまったんですが。

31本目、「P2」。 よくできたB級ホラー、大変がんばりました。次回もこの感じを忘れずに、がんばってください、以上。 おっと、これではいけない。でも、この映画を観た後に「ミスト」を観ちゃったんで、どうしても相対的な評価が低くなってします。 これは…

自分的には究極のライフスタイル

30本目、「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの世界」。 とりあえず観終わった後に思ったのは、ヘンリー・ダーガー、マジうらやましい、ってこと。 この世の中には、自分で「何か」を作っている人はたくさんいる。その中の多くが別に他人に見せたいだとか、…

露悪もいいけど、基本をね!

29本目、「タクシデルミア ある剥製師の遺言」。 どうやらハンガリー製の映画らしいぐらいのあまり事前情報のない状態で鑑賞。チ○コから火を噴くことで一部で話題になっていたようだけど、それ以上ことはわからないまま、まあ剥製師の話ねぐらいの気持ちで観…

完全なる孤独、あるいは永遠の安息。

28本目、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」。 ようやく感想を書けます。でも時間が経ってしまったので、言い尽くされた感はありますが、それでもがんばってみましょう。ストーリーは省略で。 もう全編ダニエル・デイ=ルイスだけを観る映画。それに答える彼…

これからもガンバってください。

27本目、「フィクサー」。 昨日に続いてダサイ邦題。せっかくかっこい米版のポスター(左のヤツ)が使えないという悲劇。 とにかく感心したのは、トニー・ギルロイ(今回は監督も)の脚本。お話作りが巧い。たっぷり映画の世界につかりながらも、社会派作品…

どうしても言っておかなくてはならないこと

26本目、「大いなる陰謀」。 ロバート・レッドフォードの久しぶりの監督作品。邦題は仰々しい割には映画の内容を正確に伝えていないあまり良くないタイトル。映画の中で実は陰謀は描かれない、これは戦争と社会構造に関する物語だ。 「9.11テロ」以降、イラ…