不思議な作家との出会い

 47本目、「愛おしき隣人」と48本目、「スウェーディッシュ・ラヴ・ストーリー」。

 「愛おしき隣人」は新作で、「スウェーデッシュ〜」はデビュー作(1970年)の再上映(内容的にはディレクターズカット)。前作「散歩する惑星」は公開時観にいこうとして行けなかった作品だったと映画館に貼ってあったチラシで気づく。
 内容的には「愛おしき隣人」は、スウェーデン版「ショート・カッツ」といった面持ちで、オチもほとんど同じ。(あるものが飛んできて世界は終わってしまう?)こんなところにもアルトマンの子供がいたのかとびっくりなんですが、それ以上に気になったのが全編を覆う「死」のイメージ。前作(「散歩する惑星」)でもそうだったらしいんですが(僕の勘違いかも)、登場する人物のほとんどが白塗りのメイクをしていて、画面の中の街はいつも雨か曇り空。まるで「死者の国」かと思わせるような不穏な空気が全編を覆っている。全体にどんよりしていて、そこで語られるのは些細なことで怒ったり、落ち込んだりする人々の姿。自分的には、あの世で現世を儚んでる亡者のよう。それでいて随所で陽気な音楽がかかる(歌う)のが印象的。
 一本の筋とよべるようなストーリーは無く、エピソードが羅列されるのもアルトマン的ではあるんだけど、各エピソードの間に明確なつながりが無く進む形が奇妙な引っかかりを生んでいる。
 後半キーとなるのは、ロックスターと結婚する夢を見ている少女の妄想。真っ白で小奇麗な新婚家庭が列車に乗って移動する画は、それだけでも見る価値あり。ある街について、そこの住民から祝福される様は、見ていて気持ちがいいのだが、映画内ではこれは現実の出来事でないのが悲しい。
 その後、急に晴れわたる街。しかしその空には、、、。(オチについては実際にご覧になることをお勧めします。) 希望なのか絶望なのかはっきりしない最後がおもしろい。

 
 もう1本の「スウェーディッシュ・ラヴ・ストーリー」は、さすがに20年以上前の作品なので多少古さがありますがそれなりに面白かったです。
 でも、タバコは吸うは、バイク(自転車じゃない)は乗り回す、そんな中学生がスウェーデンではありなのか。(確か飲酒もあり)。その上あんなかわいいヒロインを一時的とは言え振ってしまうような主人公(見た目も微妙だよね)の話にどうやって感情移入することができようか。不幸な青春しか送ったことない僕のような人間には、不要な要素が多すぎ。全然瑞々しく甘酸っぱい感情が湧いてこない。(爆)
 そのせいか、後半の壊れた大人たちがあたふたする様を追った部分は大変楽しく見れました。
 特にヒロインの嫌な父親が湖畔で失踪→みんな(主人公の両親や親戚)で捜索→これはもうだめか(明らかに入水自殺したような悲劇的な雰囲気)→後ろにいるよ!!(コント)という展開が最高。
 でもヒロインのアニカ(アン=ソフィ・シーリン)は非常にかわいいのでそれを観るだけでも、それなりの価値があると思います。(「純愛日記」として観ている人には評判がいいようです。)

散歩する惑星 愛蔵版 [DVD]

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