あっ、こんなところにキューブリックが!!

 25本目、「NEXT -ネクスト-」。


 まあ、下の長いだけの駄文などは読まなくていいので、この素晴らしいエントリーをどうぞ。
 http://d.hatena.ne.jp/teskere/20080429#p1
いつか自分もこういうエントリーが書いてみたいです。




 ということで、それなりに気付いたことを箇条書き。

  • 観た日の日記にも書きましたが、はっきりとしたキューブリック印が見られること。中盤あたりに2ヶ所ほど。主人公クリス(ニコラス・ケイジ)と運命の人リズ(ジェシカ・ビール)はいっしょに移動中。ようやく結ばれた2人。しかしクリスを追うカリー(ジュリアン・ムーア)によってクリスの特殊な能力(2分後の未来が見える)を知ってしまうリズ。おびえる彼女に自分の能力を説明するシーン。テレビを背にしたクリスは独り言を言い出す。次の瞬間テレビのチャンネルを換えると、クリスが言った台詞と同じ台詞が流れる。つまり、クリスはテレビの内容を先読みしている。この場面、最後に変わったチャンネルで流れていた番組がたぶん「博士の異常な愛情」の一場面。(篭城している軍人が部屋で電話に出ている場面)
  • 2点目は非常にわかりやすい。カリーに捕まったクリスが予言のためにニュースを無理矢理見せられる場面。シュチュエーション自体があの名作そっくりなんですが、クリスがしている「瞬きさせない眼鏡」。デザインはオークリーあたりが作ったようなモダンなアレンジがされていますが、アレックス(マルコム・マクダウェル)が掛けさせられていたあの眼鏡と同じ。おまけに目が乾くので目薬をさす場面まである。どんだけ好きなんだタマホリ、「時計仕掛けのオレンジ」が。(他に何かあったら教えてください。)
  • こういう映画にニコラス・ケイジが出ていても、もう何も感じない。そのせいでもっぱら話題になるのがジュリアン・ムーア。最近は「あの」呼ばわりされているが、今回もなかなか女優として業の深い役どころ。時々「ハンニバル」のクラリスに見えたのは内緒。
  • ジュリアン・ムーアもそうだけど、意外とジェシカ・ビールもジャンル女優の道を暴走中。
  • 映画の前半からクリスの能力を表現するために、主観視点と客観視線が入り乱れる編集が行われている。それに慣れてくると、「実は... 」というオチの部分の想像は早い時点でついてしまう。でもそこまでがあまりにおバカな展開なので、そんなことはどうでも良くなる。(倉庫を急襲する場面はよくできてた)映画が巻き戻った後の展開がないのは、予算が無くなったからじゃなくて、あえてそうしていると思いたい。
  • リー・タマホリの映画は久しぶりだったけど、「狼たちの街」の頃のハードな画作りの片鱗が観れたので少し満足。「狼たちの街」は早すぎたエルロイものとして、ジェニファー・コネリーの復活の足がかりとして、今でも重要だと思ってます。
  • 「夢オチ」はダメっていう人は多い。僕も内容次第ではそりゃ無いなという「夢オチ」はある。でもこの作品は、クリスの特殊能力とオチがしっかりと絡んでいるので悪くない。夢なんだから分裂してもいいし、マトリックスできても当然。それとクライマックスの展開がトンデモではないという言い訳になっている。
  • 結局リズはクリスのブースター(能力増幅装置)ってことでいいんですかね。(だからあんな長い夢が観てたんでしょ?)
 B級映画というふうに括るのはちょっと違うかなとも思いました。意外と正統派アクションとして観ることができる佳作だと思います。娯楽とはこうあるべきという映画ですから、時間のある方はぜひどうぞ。
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