「結果報告(2月14日)」

 世の中はバレンタインですが、僕個人には関係ないので映画を1,000円でたくさん観ることにしました。(TOHOシネマズは1,000円で観れる日。)

 「フェイク シティ」はエンドロールでエルロイが関わっているのを知る。(個人的にはカート・ウィマーの参加の方が気になりますが。)で、よく考えてみると汚職警官でLAPD、コリアンマフィアを皆殺し、未成年の少女を誘拐・監禁(AV撮影)など、映画中に溢れるエルロイ節。でも主演がキアヌのせいかイマイチ生臭さが無い。若くて痩せてた頃のラッセル・クロウがやってれば癖があって荒っぽい刑事を説得力たっぷりに演じたことでしょう。また、演出が少し力不足なので、スゴく狭い範囲で起っている話なのに入り組んでいるというエルロイの持ち味を活かしきれず。もう少しキチンと整理してみせる力が必要だったかもと思いました。
 あと舞台がLAということでヒップホップ系の人も出ています。人気者のコモン先生は小綺麗なドラッグディーラー役ですが、ちょっと合わないなと思っていたら実は潜○捜○官で納得。それと本物しか見えないと言う意味では、THE GAMEさんはよかったです。
 「チェ」は28歳に続く第2作目。悲劇的な結末に向って走っていくチェの姿が痛々しく重い。クラウス・バルビーの協力のもと(手引きはアメリカ軍)、ボリビア正規軍の徹底した情報操作と圧倒的な兵力の投入で、ゲリラ部隊は敗走を続ける。いっこうに盛り上がることのない「革命」への熱をまるで探し歩くように、ゲバラたちは進む。重々しい空気と緊張感の中で、それでも理想と目的を捨てない彼の姿が神々しい。
 「少年メリケンサック」は宮藤官九郎の初監督作品(あっ、間違えた。「真夜中の弥次さん喜多さん」があるから2本目か!)。いろいろと不安要素が想起される作品でしたが、楽しい1本でした。宮崎あおいのアイドル映画として、佐藤浩市主演の中年映画としてそれなりに面白い。ただしクドカンの仕事ぶりは映画としてはイマイチ。お話も長いわりにはまとまっていない。でも、小ネタは多いの結構笑えます。ちなみに音楽はZAZEN BOYS向井秀徳が担当。
 というか、映像化の作業自体は「木更津」なんかで組んでいた金子文紀さんあたりがやった方が良かったと思いました。「流星の絆」は面白かったしね。クドカンはできれば脚本か舞台演出に専念していただきたいと少し思った1本でした。
 最後は「ベンジャミン・バトン」。普通にいい映画で、3時間弱ながら安定した作品。
 若返ったケイト・ブランシェットも良いが、「リバー・ランズ・スルー・イット」の頃の輝きを取り戻しているブラピがスゴい。(後半の彼のキラキラ感と言ったら。)
 脚本が「フォレスト・ガンプ/一期一会」のエリック・ロスといいうことで、実はストーリー自体は「フォレスト」のそれとほとんど同じ。特にベンジャミンとデイジーの造形が全く同じなのに笑う。(特別な境遇の純朴で奥手の青年と文化系で活躍する進んだ少女の恋。主人公がほとんど金に困らないことまで同じ。)あと現代史の事件をお話に絡めたり、CG使って場面を再現するという技巧面でも「フォレスト・ガンプ」に近い。
 ということで、この映画がアカデミー賞とかで評価されるとフィンチャーの「ゼメキス化」が完成。でもそれは、「セブン」や「ファイトクラブ」が好きな人には不幸な結末だったりして。
 あと個人的には、フィンチャーの奇数番目の作品はどうでもいい作品という法則が、今回も発動していると思いました。

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