「WALL・E」(日本語吹替版)

 「WALL・E」として2回目、吹替版でも変わらず面白い。
 2回目ということでディテールを確認しながらの鑑賞。ピクサー作品ではおなじみの画面内のテキストのローカライズも健在。そんなこんなも含めて、密度の高い画面を堪能。でも、今回はそもそも台詞自体が少ないので、「言葉」を気にして画面に集中できないと言うことがほとんど無い。
 そういった意味で、「吹替版」でこれだけ違和感のない作品はあまり無いかも。しかしながら、WALL・EとEVEの声色が明らかに変わる場面があるのはご愛嬌というところか。後半は抜群の安定感と落ち着いた低音の声が心地良い草刈正雄にうっとり。(上手い!)
 それと、これもおなじみのオマケ(前座)の短編アニメ「プレスト(マジシャンとウサギ)」に関しては、いつも通りの表情豊かで精緻なサイレント的表現とわかりやすいドタバタで、安心して面白い。
 しかし今回それだけに留まらず、かつてのルーニー・チュ−ンズやテックス・アヴェリーなんかを意識した先祖帰り的な作品で、キャラ設定(画面)や動き、細かな表現に至るまでキチンと再現されていて(最初のクレジットからちゃんとフィルムに汚しや退色がある。アニメじゃなくてカートゥーンになってる)、小学校時代に夕方のアニメとして「トムとジェリー」なんかを楽しんだ世代にはたまらんものがあります。(エンドロールのデザインも良かった。)
 だたしこの作品は、場を暖めるためとか、単なるレトロ趣味という意味を越えて、これから始まる本編がどのようなコンセプトに基づいて作られた作品であるかを端的に表す形になっているのがスゴい。(多分偶然とは思いますが。)若手が作った習作という以上に連携感があって良かったと思います。
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