成功しているか、否か。

 昨日(日曜日)観た「ポニョ」について、いろいろとWebを見て回った結果、意外と肯定的な意見が多い。
 アニメとして純粋に面白いという意見が多いのがちょっと意外。ジブリの技術力をこれでもかと投入した「ポニョ」は確かによくできてはいると思うんだけど、今回に限ってはそこまでだろうかと思ってしまう。(個人的には「もののけ姫」以降も原則的に全肯定です。)
 なんとも言えない居心地の悪さと言うか、良くも悪くもディズニー的なものを目指している御大の姿に違和感を感じたのが正直なところ。(あれだけディズニー嫌いだった人が、新境地ってことで作った作品がディズニー的なのは何かの皮肉か。)
 どんな天才にも向き不向きはあると思う。また70歳を迎えようとする日本アニメ界第一人者が自己否定に走るさまは、本来ならある種の痛快さ伴うはずなのだけれど、今回はやっぱり失敗していると思う。
 簡素なストーリー、連続するイメージ、影のないべた塗りのキャラ、単純化された線とCGによるデジタルな表現の排除といったコンセプトが何をもたらしたのかは、実際にスクリーンで確認してもらえばいいと思いますが、最近はジブリぐらいしかアニメを観ないという人にはこの作品をおすすめしたい。(つい最近完結したばかり、そのうちWOWOWで再放送するでしょう。)
カイバ Vol.1 [DVD]

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 上で書いた「ポニョ」に於いて目指した表現上の試みが多くの点で共通している。映画とテレビという差があるの単純な比較はできませんが(狙っている層も違う)、僕はこちらのほうが、現時点での成功例だと思います。(というか、向いてる演出家がやるとこうなるという好例。)