結果報告(12月11日)

 仕事終わりで映画館へ。1時間ちょっとかけて車でお出かけ。8時すぎのレイトショーでこの作品を鑑賞。 ソダーバーグの新作でマット・デイモンの主演というのに公開規模が「マイマイ新子」よりさらに少ないという状況。「洋画冬の時代」といった感じか。確かに内容としては全くコマーシャルな部分が無い変な映画で、マット・デイモンがある事情を抱えた中年サラリーマンを熱演。その事情ってやつが非常に変わっているのだが、これ実話ベースと言うことが驚き。
 要は「平気でウソを付く人」の話なのだが、それにしてもどこまでがホントで、どこがウソなのかわからない構成になっており、事態が雪だるま式の大きくなるのに、その中心にいる主人公ウティカー(マット・デイモン)は全然悪気は無いし、罪の意識もない。むしろ自分が被害者の1人と思っているから始末が悪い。
 特に後半は「えっ、えっ」って思っている間に物語はズンズン進んでいき、国際カルテルに関わるお話が会社乗っ取りや横領、脱税へと変わっていく。
 ある意味軽妙な語り口でスルスルと進む映画で、ユルいコメディ風の演出がされているのだが、そのせいで余計と主人公の言動の異常さが引き立つ。
 また彼に振り回される人たちの様子がどことなく物悲してリアル。最近のアメリカ映画に珍しく、FBIの捜査官が割とまともな人間として描かれるもの面白い。
 70年代から80年代の海外性ドラマを彷彿とさせる画作りで90年代初頭の話なのに、もっと古い時代の出来事のような作り。結構エグイ経済犯罪の話なのにアメリカの片田舎の風景と相まって、どことなく牧歌的な感じ。ただし再現性の高い画作りはタランティーノ級で、それでいて決して泥臭くならないのはソダーバーグ的なセンスの良さ。
 「オーシャンシリーズ」に通じるオフビートな笑いは、結果とし非常に客を選ぶスタイルの映画になっている。わかりやすく面白い演技が出来る訳ではないマット・デイモンは案外適役で、ソダーバーグと組む時の彼がほとんど詐欺師役というのも面白い。主人公の異常性と真相を煙に巻くために、ある数字を利用するあたりは非常に上手い作りのお話だと思いました。
 でも、笑ってスッキリできるタイプの映画ではないので、あまりお薦めは出来ません、以上。