結果報告(6月27日)

 ほぼ一ヶ月ぶりの更新。仕事で精神的にグダグダな日々。どうにかしたい。
 この週末は、久しぶりにちょっとした強行軍。27日(土)から28日(日)にかけて映画三昧。日程的にはこんな感じ。まずは土曜のお昼にを観る。
 松山ケンイチ主演、麻生久美子がヒロイン。監督は新進の女流監督横浜聡子。横浜監督の作品を観るのは初めて。前作「ジャーマン+雨」は未見。今作も松ケンや麻生女史がでている映画と言う以上の知識なし。
 正直演出的には全体に平板で退屈な所も多い。ただしストーリーは非常に気持ち悪くて、素敵。考えように寄ってはこんな変な話をまるで普通の田舎の一場面として描けると言うのはスゴいことかもしれない。(※以降ストーリ−に触れますが、ネタバレを防ぐため自主規制しながら書きます。)
 ○○遅れの青年陽人(松山ケンイチ)は祖母と野菜を作って青森の片田舎でそれなりに幸せに暮らしている。
 東京で恋人(ARATA)と死別した町子(麻生久美子)は、彼との関係に区切りをつけることができなくて、そのモヤモヤを晴らすべく(答えを与えてくれる存在を探して)青森にやってくる。保母として働き始めた町子に一目惚れした陽人は、何とか彼女に気に入られようと奔走する。
 物語に核は、町子と両思いになりたい陽人の起こす様々な行動で、まず自分の家の畑に一晩埋まってみる。その時に起こったある出来事がその後の物語を何となく歪ませていく。埋まったことによって陽人の身に起きた変化は偶然にも町子の心を次第に変化させるのだが。
 「町子に気に入られること=進化」の名の下に陽人の行動はどんどんエスカレート。○○を全身に浴び続け、最後には○○○になってしまう。そう、これは○○○化した青年にストーキングされ、最後には両思いになってしまうという前代未聞のSF的なラブストーリーだったりする。
 それにしても本当に変な(嫌な)話で、○○遅れの青年が好きになった女のために、畑に首まで埋まったり、喜々として○○を浴びるなど、普通に撮ったら不愉快極まり無い様子を、主演の松ケンがお得意のイノセントな雰囲気でしっかりとオブラートに包み、純粋でピュアな存在へと消化していたのはさすが。また青森弁の台詞回しやパターンかされてないキャラづくりなど、男の俺が観ても確実に松ケンに惚れてしまう見事な仕事っぷり。また舐めるように松ケンの四肢を追い回すカメラワークに監督の趣味を感じない訳にはいかなかったりする。
 しかしながら、主人公陽人が「進化」という行動を通して、非常にまっとうな異性へのアプローチを試みるので、両者が次第に親密な関係になっていく過程に無理がなく、好きになった女性に振り向いてもらいたい男子には非常に参考になる内容。(さすがに○○○になれんが。)
 それと、女の子が大好きな「自分に対して誠実でマメな男性」に心を開いていく様子が丁寧に切り取られているので、命がけな男性の行動に女性がなびいていく様子が良く描けていると思いました。(ただしオチをみる限り、町子が陽人をホンキで好きだったかどうかはちょっと疑問。)
 ただし、演出的には少々ピントがあってないと感じる部分も多くて、寓話として描きたいのか、ブラックなコメディにしたいのかが中途半端。あと保育園の園児がやたらと画面に登場して、芝居ともつかないグダしゃべりを延々している様子を何の工夫も無く撮るのはあまり意味の無いので、リアルを求めるならもっと違ったアプローチをすべきだと思いました。(余談ながら「ジャーマン+雨」の主演の女の子がほとんど台詞なしの保母さんとして出ていたような。)それとシュールな笑いにはしるなら、最後の最後で陽人の○を食べたクマが松ケンの声色でしゃべりだすぐらいのオチはありだと思う。
 あと音楽を大友良英が担当。全編をギターによるフィードバックノイズとターンテーブルを折檻しているようなギンギンした音が包み込む。(その割にはエンディングでながれる主題歌は100sのベタなポップソング。)終盤の森に中を疾走する松ケンをドリーで捉えたショットなど、全体的に田舎なのにアバンギャルドというミスマッチ感は、何となくレオス・カラックスを思い出しました。
 観賞後よく考えて見ると、このお話の内容ではほとんど宣伝らしい宣伝ができなかったはず。それでも新人といっていい女性演出家がこんな挑戦的な映画を撮っていると言う事実は、映画の出来不出来とは関係なく、もっと重要視されるべき。主演二人の力(人気)も手伝って、公開後3週間近くたっているわりにはお客も多いのには感心。
 でも、ほとんどが松ケン目当ての女子かカップル(ラブストーリーだけに)だっただけに、終演後の何とも微妙な会場内の雰囲気が印象的な1本でした。
 
 日曜日にかけてのことも書きたいところなんですが、少し長くなったので一旦ここで終了。別のエントリーにしたいと思います。ちなみに土曜の深夜からオールナイト(久しぶり!)で、この週末から公開された「ヱ」のつく作品の復習に行ってきたので、そこで観た作品とその後に観た「破」についても書きたいと思います。それでは!!。
ジャーマン+雨 [DVD]

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