結果報告(5月9日)

 ドキュメンタリー2題。 同じドキュメンタリーながら対照的な内容。
 世界的なセレブの人生を追った「マリア・カラスの真実」は、故人となった人物の人生を復習するにはもってこい。森公美子のように太っていた時代のマリア・カラスに驚きながらも、芸に身を捧げた一人の女性の順風満帆とは言えない人生に合掌。(死因がドラッグがらみなのはしらなかった。)
 「ウォー・ダンス 響け僕ら鼓動」はちょっと想像していたのと違っていたので、前半部分で戸惑う。
 内戦によって運命を狂わされる少年少女たちの境遇は本当に悲惨で真に迫ってくる内容ながら、まるで台本を読んでいるような整理された独白と再現風の状況説明に違和感を憶える。演出があることは決して悪いことではないと思いますが、事実と再現をシームレスに構成していることが、かえって彼らの過酷な状況を正確に伝えることを阻害してしまわないか、少し心配になりました。ただ、この映画の最も重要なメッセージは、世界の片隅に今でも存在している大変に不幸な子供たちの存在をPRすることで、映画を観た人の一人でも多くがこの子供たちを助けるために立ち上がってくれることで、「事実を記録する」というドキュメンタリーの重要な面を無視することもありなのかとも思う。
 さすがに後半の全国大会の部分は、作り手の余計な意図が入り込まず、自らのルーツに根ざした表現を一生懸命に披露する姿に感動を憶える。特に木琴の少年の演奏と由緒正しい部族の踊りは素人目にも圧巻で、それを観るだけでも十分に価値のある作品だと思います。