結果報告(1月17・18日)

 また悪い癖が発動中。
 17日(土)と18日(日)は二日とも映画を観ました。ちょっと量が多いので(いつものことですが)、読まれる方は覚悟のほどを。(大げさだ!!)
 17日に観たのは6本。
  • 「未来を写したこどもたち」
  • 「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」
  • 「ブラザー・クエイの幻想博物館」(3本分)
  • レス・ポールの伝説」

 昨年から非常にドキュメンタリーづいておりまして、この日も2本がドキュメンタリー。
 まずは「未来を写したこどもたち」。もともとはPodcastで映画評論家の町山智浩さんが紹介していたのを聞いての鑑賞。
 インドの赤線地帯に暮らす子どもたち、その過酷すぎる環境の中で健気に生きる様を目撃した一人のアメリカン人写真家が単なる慈善活動の枠を超えて、子どもたちを救うようになります。手に職をという訳ではないですが、働いてばかりの子どもたちにカメラを与えることで、少しでも文化的な生活を送ってもらいたいと始めた写真教室が、次第に教育も受けられない子どもたちの救済活動へ移っていく様子が克明に記録されています。
 貧困や階層の固定化によって犠牲になる子どもたち。それを救おうとする文化的な西洋人というステロタイプな図式ながら、ただ一方的に助けてしまうのではなく、カメラを通して個々の才能や将来を垣間見せようとする懸命さに頭が下がる思い。ただ現実は厳しく、彼女の活動が世界的な広がりを持って、インド政府が対策を打ったという話は聞かないし、慈善活動の一環としてある程度の成果はあっても、それ以上の変化をもたらしたとは言いがたい。
 一時的に幸せな時間を得た子どもたちも、結局はそのほとんどがもとの生活へ戻ってしまっている。それでも、 は初めてしまった以上は続けていかなくてはならないし、その記録に触れた僕達も記憶に留めてゆく必要があると思いました。(いつの日かやってくるその日のために。)
 せめてもその才能を見いだされた少年が、これからの世界になんらかの影響力を持ちえる存在へと成長してくれればと、その後の子どもたちについて書かれた新聞記事を映画館の片隅で読みながら(切り抜きが貼ってありました。)思うしだいです。

 続いての4本は、いずれもイギリスのアニメーション作家(?)のブラザー・クエイの新作とその過去作の特集上映。これについては個別に後で。

 この日の最後が「レス・ポールの伝説」。音楽(主にロック)については映画がらみで今までも何回か書いているんですが、僕は楽器は全く弾かないし、知識もありません。そんな僕でも名前だけは知っていたレス・ポール。これがギターの名前とは知っていたのですが、実在の人物(ミュージシャン)のこととは。(映画の紹介記事を見て知って次第です。)
 で、本編の感想。とにかく分かりやすい。先日観たThe Whoのドキュメンタリー同様に、一から学ぶと言う意味では楽しくレス・ポールさんのことが勉強できる90分。自身の名前を冠したエレキギターの開発や多重録音といった現代の音楽には欠かせない技法の開発とか、ロックミュージックの原型を成すことに貢献した人物として、90歳となる今に至るまで現役ミュージシャンとして活躍する姿が微笑ましい。
 私生活でもパートナーとなるメリー・フォードとのコンビ時代の音源がクリアーな音で聞け、そのメロディーの色あせない感じに驚く。喜々としてレス・ポールの作った音楽について語るカーペンター兄の姿が印象的でした。
 ジャズ、ブルース、R&Bなど(黒人音楽)がある時代以降のアメリカの現代音楽の基礎となったことは、ロックというジャンルの成立を紹介した本やドキュメンタリーに度々登場するのですが、それと同時代にあって白人を中心としたカントリー、ポップスの系譜がどのような発展をしたかもわかるようになっていて、全く別の流れがあったことがわかって面白い。
 エルビスに代表されるようなロックンロール(黒人音楽に乗っかった白人の音楽)の出現によって、人気ミュージシャンとしての命脈を断たていく姿がなんとも切ないが、時代が下るなかで、そのロックの人々たちから尊敬され、支持されていることがある意味皮肉な感じもしました。
 しかし、今年も面白いドキュメンタリーが多そうなので、そういった種類の映画を沢山観ることになりそうですね。

 それでは18日(日)分、4本。

 今年も観てますドキュメンタリー、ということで「ザ・ムーン」。
 アポロ計画の内幕を、計画に参加したパイロットのインタビューを中心に構成。NASAの秘蔵映像(まだまだ沢山ありそう)を交えながら、計画の発端から11号に始まる月面着陸のシークエンスを中心に偉大なるアポロ計画を追った1本。しかし、実際に面白かったのはNASAの記録映像(特に訓練シーン)で、インタビュー関係は少し退屈。また単純に時系列を並べただけの構成は、良くも悪くも歴史的な事実を知ってる人にはそれ以上でも以下でのないことになってました。ただジム・ラヴェルやオルドリンなどの晴れやかな話っぷりはそれなりに心打たれるものがありました。
 あと「アポロ13ロン・ハワード監督)」を観ている人にはお馴染みのあの事件もちゃんと網羅されておりますが、もうひと捻り欲しかったなあとは思いました。最近観たTHE WHOレス・ポールなんかより面白みは少なかった。でも、近くに座っていた少し年上の夫婦連れの方は大変感動していたので、アポロ計画への時代的な思い入れでの違いが多きのかとも思いました。
 あとの劇映画2本については後日。軍配は断然「ヘル・ボーイ」の勝ち。「007」はそうならないといいなと思っていた部分がそのとおりだったので大変残念でした。