映画の宣伝はどうにかならんものか。 

 今朝、仕事行く前にズームイン朝を見ていたら、今週末から公開の「ノーカントリー」の宣伝が話題として取上げられていた。 なんとハビエル・バルデムが来日して、記者会見みたいな感じだったのだが、そこでちょっと信じられない光景が。
 どういう流れなのはわからないが、いきなりエドはるみが出てきて、映画とあんまり関係ないネタ(グゥって連呼するヤツ)をやっている。 正直、エドはるみの一発芸の賞味期限は、年末年始でそのピークが終わったと思っていたので、見ていてツライ。 その上、若干映画に絡めた部分があるものの、シリアスな映画に賑やかなだけで寒いギャグというなんとも食い合わせの悪い状態に。 ハビエルはいい人で、彼女のことを振られるとがんばったエドはるみを労うようなコメント。会場ではどんな感じだったのかはわからないんだけど、 映画(洋画)の宣伝って本当にこれでいいのだろうか。


 こういうプロモーションのやり方については、大体大手の映画会社が得意としているんだけど、興行的に本当に効果があるんだろうか。 確かに売れてるお笑い芸人やタレントを使えば、情報系番組やワイドショーなどではとりあえず取上げてくれる。 取上げられること自体が大きな目的なんだろうが、それでエドはるみの芸をみて、「ノーカントリー」を見たいという人は増えるんだろうか。
 たまさか今年のアカデミー作品賞を取ったからといえ、コーエン兄弟の映画はハリウッメジャーの大作のようにヒットするとは 思えない。その上この映画は陰惨で暴力描写も多く、全般的に評価の高いアメリカでもラストは賛否両論だ。
 興行的に難しい側面があるからこそ、映画会社としても、にぎやかな雰囲気を演出したいと思ったんだろうが、さていかに。


 昨年のシンプソンズ映画版吹替騒動(調べれば今でも内容はわかります。)の時のように、単なる話題性だけでマーケットのことを無視した 興行と宣伝は、エンドユーザーの怒りを買うだけ。劇場に足を運んで映画を見る人にとっては、本当に意味の無いことだ。
 その上楽しみにしていた作品に変なイロをつけられたようで、少しムカつく。←ここが本音(笑)
 ダシにされるお笑い芸人は、その場で精一杯自分の芸をすることしかないので、彼らに非は無いと思う。
 せめて試写会やって、そこに 呼ばれた有名人がコメントぐらいの話なら、まだありかと思うけど、何でお前なんだってタレントが多すぎ。
 対照的だったのがめざましテレビの映画紹介。来日したハビエル・バルデムことを絡めながらの作品紹介と、彼のインタビュー中心の構成。 エドはるみも出てきたけど、ほんの少し抑えられている。
 どちらの扱い方が、宣伝活動の本来あるべき姿としてはどうなのかという 観点から言えば多少議論が分かれるものの、映画を伝える、紹介するという点においては、フジテレビの態度の方が正しいのは明らかだと思う。


 つい最近、若い人は洋画より邦画を見るっていうアンケート結果がでてるんだけど、そりゃ、ガッツリ映画好きっていうわけじゃ無い人にとって、 いつもテレビで見ている俳優が出ていたり、その国の文化的な背景とか知らないと楽しめないみたいなハードルの無い日本映画は、カジュアルに 楽しむにはいいと思う。(クオリティ面は度外視すれば、楽しい・面白いものは今の邦画にはそれなりにある。)
 それとテレビドラマの延長の企画も多いので、見に行きやすいしね。
 でも、こんな宣伝しかしないんじゃ、洋画を見たい人の人口は増えていくんだろうか。
 ただでさえ、最近のハリウッド大作は、企画力が落ちてきて、単純に娯楽として質が高いものは多くない。本当に面白い映画はバンバンDVDになってしまう。アメリカでもドラマの方が面白かったり、 元気がいいのは明らかだから、そっち中心ってわけではないでしょうに。
 地味な映画でもきちんと映画としてアピールした方がいいじゃないかな、映画館や配給会社がつぶれる訳ではないんだから。
 

 まあ、こんなことは他のブログでも散々言われていることなので今更なんですが、楽しみにしていた「ノーカントリー」の宣伝に少しでもお役に立ててればってことで、 長めの愚痴でした。


血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

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